運転って疲れるね。


今日は仕事中のほとんどが運転中と言う、不思議な日に。


「運転」?

あ、なんか思い出した。



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プルルルルル

師匠「・・・はい」
古谷「・・・久しぶり」
師匠「・・・古谷か?」
古谷「よく一言でわかったな」
師匠「そりゃわかるよ」
古谷「こうやって話すのって何年ぶりだっけな」
師匠「えーと、確か5年ぶりくらいか」
古谷「そのくらいか、もうこんなに時間が経ったんだな」
師匠「お前今どこにいるんだ」
古谷「懐かしい場所だよ」
師匠「懐かしい・・・?」
古谷「今周りは真っ暗だ」
師匠「?」
古谷「地面はアスファルトだ」
師匠「・・・真っ暗でアスファルト?」
古谷「狭い道路だよな」
師匠「ああ、あの道か」
古谷「そうだ、高校の頃、いつも一緒に帰ってた」
師匠「どこにも明かりが無くて」
古谷「道路の脇は何百メートルもの間、高い壁で覆われているからな」
師匠「そうそう、しかも車2台がギリギリでしか通れないあの道だろ?」
古谷「そう、懐かしいだろ?」
師匠「懐かしいなぁ」
古谷「と言うことで、地元に帰ってきたんだ」
師匠「あれ? 古谷、お前報道記者の仕事はどうしたんだ?」
古谷「ああ、今はちょっとな」
師匠「・・・何かあったのか?」
古谷「いや」
師匠「何かあったろ?」
古谷「・・・いや」
師匠「ヤバい情報でも掴んだとか?」
古谷「・・・」
師匠「まさか、それで今狙われているから地元に隠れているって事か?」
古谷「・・・」
師匠「おい、こんなバカげた話が正解とか言うなよ」
古谷「・・・そのまさかなんだ」
師匠「おいおい、なんだそりゃ」
古谷「仕方ないから、しばらくこっちで雲隠れしようと思ってさ」
師匠「さすがに今の場所は気づかれてないんだろうな」
古谷「多分、大丈夫」
師匠「って、お前、よく考えたらそんな狭い道路を歩いてるところを狙われたら逃げ場がないぞ」
古谷「大丈夫だって、ただでさえ真っ暗だし」
師匠「でも、車が手前と奥からやってきたら逃げる場所さえないまま轢かれちまうぞ」
古谷「あ、そりゃそうだな」
師匠「おいおいおい、しっかりしてくれよ・・・」
古谷「お、そんな事を話してたら向こうから車が1台、こっちに向かって来てる」
師匠「・・・お前を狙ってる輩じゃないよな?」
古谷「真っ暗だからよくわからない、車のライトしか」
師匠「おいおい」
古谷「でも大丈夫だよ、俺は道路の左端を歩いてるし、車は右側を走ってこっちに向かってる、俺の後ろから車は来てないしな」
師匠「でも、向かってる車がお前の方に向かってくるかもしれないし」
古谷「大丈夫だってば、ほら、もうすぐ横を通り過ぎるよ」
師匠「・・・取り越し苦労か」
  「ゴッ
師匠「えっ?」
  「ガッ ガガガガッ
師匠「おい! 古谷!?」
  「ツー ツー ツー


俺は慌てて警察に電話をし、地元へ向かった。
数時間後、俺が見たものは、古谷の無残な轢死体だった・・・。


しかし、謎だ。
古谷は道路の左端を歩いていて、車は向こうから右側を走ってきていた。
なのに、古谷は轢かれた。


狭い道路とは言え、車は2台ならギリギリ通れる。
しかも古谷は小柄な男だった。
どう考えてもこの状況で車に轢かれるなんて有り得ない。


警察が道路に残っているタイヤの跡を調べたが、普段沢山の車が走っている轍と同じラインを走っているらしい。
2車線とも綺麗な直線の轍しか残っていない。
これは俺が高校の頃から変わっていない。


昔から変わらないこの道路で古谷が・・・。


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このトリックを解け。(5分)<えー?